ソック湖の奇岩群と水上バンガロー

タイで“グリーンツーリズム”-2-

　ダムで堰き止められてできた広大な湖、ソック湖畔からロングテールボートに乗る。エメラルドグリーンの湖上をボートは波しぶきを立てて快走、次第に石灰岩の奇岩群に囲まれる。

　白い岩肌に濃い緑の木々が張り付くように生えている。もし霧が立ち込めたら、ここがタイか、と思わせるような深山幽谷を彷彿（ほうふつ）させるだろう。ボートがエンジンを切ると、チャプチャプと船底を叩く音しか聴こえなかった。

　やがて、湖上にいくつもの小屋が建ち並ぶ静かな入り江に到着した。湖上のバンガローだ。旅行者はここを宿とし、背後の山をトレッキングするのだという。入り江の奥の岸辺で、小さなサルが遊んでいるのがかすかに見えた。
　ただ山と水に囲まれただけ。やたらと音がない。だから、逆に耳が敏感になる気がする。