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りらいぶジャーナル

「骨盤おこし」で身体が目覚める 一日3分、驚異の「割り」メソッド

中村考宏著(春秋社)1600円+税

 
 メタボ腹が気になって、フィットネスクラブに通って腹筋台でうんうんうなった経験のある人、リタイア後の健康増進のためにジムでバーベルを上げたり、ジョギングマシーンで汗をかいたりしている人は本書を熟読してほしい。ひょっとして健康増進のつもりが、身体を痛めているかもしれないのだ。

 運動をより安全に、効果的に行うためには、まず正しい骨のポジションを意識し、それを求めるような身体運動を行うことを本書では勧める。ここ数年、いわゆる骨盤矯正や骨盤ダイエットなど、部分的に骨盤を調整して健康・美容に効果を上げる方法は一種の「骨盤ブーム」と呼ばれるようなムードもかもし出している。だが、部分的な矯正だけでは、すぐに効果は消えてしまう。

 「構造動作トレーニング」の面白さは手や足指の先端意識を目覚めさせることだけでも、例えば、足の小指でものをつかむような稽古を重ねるだけで股関節の可動域が広がり、骨盤が起きてくる。骨盤を中心として、全身の骨格が正しい位置関係になっていくような、自己調整法ともいうべき運動法だ。その一つがタイトルにもなっている「割り」、つまり股割りである。ただし、本書の「股割り」とは、「いかに筋を伸ばさずに股関節の可動域を広げていくか」を目的としていて、従来の筋伸ばしの柔軟体操とは根底的に異なる運動だ。だが、それを毎日数分、仕事中でも椅子に座ったまま、ある姿勢を維持して行うだけでも、腰痛も自分で治せるし、むしろ腰痛にならない動作・姿勢をを身体が求めるようになる。

 さまざまな痛みや故障に苦しむ現代人にとって、本書はそれらの苦しみから解放され、さらに全身の動きをより活性化させる道を示してくれる。しかし、健康法・治療法というより、新しい身体操作法のバイブルとして評価させることが望ましい。

 また、時期を同じくしてDVD「構造動作トレーニング “股割りを極める”」(BABジャパン、5250円)が発売される。異なった出版社から発売されるということも、構造動作トレーニングの関心の広がりを示しているようだ。


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