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りらいぶジャーナル

筋肉トレーニング、ストレッチは病気の元?

古武術の身体操作から見直す
高齢者運動の「常識」

 近年、古武術の動きを「介護」や「スポーツ」現場に取り入れる活動が注目されている。りらいぶサロンでも「古武術の身体操作法から学ぶ、健康で楽になるカラダの使い方」をテーマに、武術稽古研究家の中島章夫氏を講師に迎え、実際に古武術をヒントにした楽に動ける身体操作を体験した。

 中島氏は、元巨人軍の桑田真澄投手の奇跡的復活や卓球女子の平野早矢香選手の5度の全日本優勝に影響を与えたことで知られる武術研究家・甲野善紀氏の下で長年古武術を研究し、現在は独立して半身動作研究会を主宰し、独自の視点で日本人の伝統的身体操作法と武術との関係を研究している。また、朝日カルチャーセンター、よみうりカルチャー、東急セミナー、早稲田大学オープンカレッジなどの講師を務めている。

 明治維新以前、西洋のスポーツ体育思想が持ち込まれる前には、日本には伝統的な生活スタイルに溶け込んだカラダの使い方があり、その使い方を日常生活に取り入れることで、立ち上がったり階段を登ったりする「きつい」思われがちな動作が今よりラクにできるという。例えば、足指、足裏の使い方一つで、腰痛や肩こりがぐんぐん楽になったり、筋肉トレーニングなどを必要としない動き方のコツを伝授している。


(茨城県民大学で受講者らに身体操作法をアドバイスする中島氏)

 中島氏が講師を務めた茨城県県西生涯学習センターで行われた茨木県民大学の「暮らしも仕事ももっと楽になる! 古武術から学ぶ身体の使い方」講座をのぞいてみた。参加者は退職後の高齢者と主婦。講座では、重心の移動で膝や腰に負担がまったくかからない立ち上がり方や疲れない歩き方、指先や腕、肘の使い方で重たい荷物が軽くなる方法などを次から次に実際に体験して驚いていた。膝を手術したばかりという79歳の女性は「この講座に来るまで一人で立てなかったのが、楽に立ち上がれたのです。信じられませんでした」と喜びの声を上げていた。
 

(骨盤おこしを指導する中村氏)

 中島氏が現在熱心に取り組んでいるのが「骨盤おこし」を中心にした「構造動作トレーニング」の普及だ。現在、腰痛や肩こりばかりでなく、頚椎損傷などの重い病気を抱えている人が多いが、その背景には骨盤後傾という身体の問題が大きく関わっている。それを改善し、自己調整して健康な身体に生まれ変わらせるためのトレーニングである。全身の骨格の可動域を広げてやることで、武術やスポーツばかりでなく、さまざまな病気治療にも効果があるといわれている。

 その創始者の中村考宏氏(愛知県津島市・えにし治療院院長)を招き、ここ数年、東京で「骨盤おこしトレーニングセミナー」を毎月開講してきた結果、メディア関係者からも注目されるようになり、最近書籍、DVDなどの出版が相次いだ。
(2011.11.07)


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