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りらいぶジャーナル

「走る」「歩く」ことは「楽しい」「気持ちいい」――指導者の下、正しく体力作りを

プロフィットネスコーチ/株式会社ラバ・チューブ代表取締役 園原健弘さん

 私の講座で一番高齢の方は77歳の男性です。60歳代の方は圧倒的に女性が多いです。フルマラソンの出場をめざす方もかなりいます。


 マラソンを始めるきっかけは「東京マラソンのテレビ中継を見たから」という方が多いです。私にもできるかもしれないという勇気をもらって参加してくれています。

 男性の方は走れるようになってから参加するという方が多く初心者は少ないですね。例えば「今度20キロ練習会をやりますから来てください」と言うと、「まだ20キロ走れないからいいです」と断わる方がいます。「走れるようになるための練習会ですよ」と言っても、周りの目を気にしてしまうようですね。できないことは恥ずかしいことでも何でもないんですが、やはり男性はそこを意識するんですね。

 また初心者の男性は、最初は早いスピードで飛ばして行くんですが、最後は女性に抜かれてしまう。逆に女性は今が心地良ければいいという感覚ですので、最初から無理しないで地道に取り組まれる方が多いようです。

 世間一般では筋力を増やすという体力作りが中心ですが、高齢者が無理に筋力や体力を増強しようとすると、精神的にも苦痛になったり、関節にストレスがかかってけがをしたりすることもあります。
 私の教え方は基本的に今ある筋力を効率よくパフォーマンスに転換するというやり方です。日本ではそういうやり方はまだ少ないですが、効率の良い歩き方、走り方があって、それを覚えると距離も伸びるし、疲れも少ないのです。日常生活でも腰痛や肩こりがなくなります。

 無理をしたら続きません。効果も急には出ません。「気持ちが良い」「楽しい」を目的に、自分に合った環境作りが大事です。でもシニアが始めるときは自己流ではなく、それなりの指導者がいたほうが安心です。

 例えば、私たちの講習会では、30キロ、40キロ走るときは地図だけ渡してハイキングのようにわざと複雑なコースを作ります。道を間違ってもいい、コンビニで休んでもいい。もし最後まで行けなかったら途中で戻って来られるような「抜け道」も考えて、できるだけ精神的負担がかからないようにすると、挑戦が簡単になります。最終的に30キロが20キロで終わっても悪いことではありません。

 マラソンは苦行ではなく、効率の良い動きで走ること、歩くことこと、それ自体がストレッチになり整体になりマッサージ効果があるという認識を広めていきたいと思います。

そのはら・たけひろ●1992年バルセロナオリンピック50キロ競歩日本代表。アトランタオリンピック陸上チームコーチ、日本陸上競技連盟強化委員会競歩部長などを歴任。全国各地の企業や地方公共団体から依頼を受け、健康指導を行っている。ウォーキング理論をベースにした健康指導のほか、読売文化センターの「0から始めるフルマラソン」講座など、ランニング指導の依頼も多く、楽しみながらラクに走れるテクニックを伝授している。株式会社ラバ・チューブ代表取締役
(2009.02.09)