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りらいぶジャーナル

演劇をライフワークに

西尾和正さん

 明治座アートクリエイトプロデュース第1回公演「一粒のいのち」で巡査役を演じた西尾和正さん(65)。去り際の「失敬」という台詞一つにもその場面で使う意味を込め、神経を使った。「演劇をライフワークにしたい。『また(西尾さんを)見たい』といってもらえたら、役者冥利に尽きますね」

 西尾さんが俳優養成所「明治座アカデミー」に入所したのは、その前に声優学校に通ったことに端を発する。「60歳の誕生日に、サラリーマン生活を終えたら好きなことをやろうと考えました。私は中学・高校時代に演劇部でしたし、国語の教科書を読むにも自分流にアレンジするのが好きだったので、声優の勉強をして朗読ボランティアをやろうと思っていたのです」

 ところが、そのうち大勢の人の前で演技したいという思いのほうが強くなってしまい、アカデミー6期生の一員に。家族も「がんばれ」と背中を押してくれたという。「けいこで、『本当の自分をさらけ出して、本当の自分に戻って演劇活動をしなさい』といわれたことが非常に役に立った」と振り返る。「6期生とは年齢関係なく苦楽を共にした仲間という共通の意識がありますね」

 さらに西尾さんは演出家で俳優の壤晴彦氏が主宰する50歳以上のシェイクスピア劇上演のためのワークショップ「座・シェイクスピア」に所属、美しい言葉に触れた。「明治座で培ったことがあったから、壤さんから得るものも大きかった」
 先の「一粒のいのち」では役が決まって本番まで3週間。舞台を踏む仲間とはお互いプロだと意識し、心がつながった。

 西尾さんは3期生が結成した絵本の読み聞かせグループに属している。将来、仲間と演劇をやりたいと希望を膨らませる。「まだ終わってはいない。演劇がライフワークとなって、いつでも挑戦していきたい」と心は熱い。
(2010.05.07)