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りらいぶジャーナル

旅は生き方探しの場――シニアに体験してほしい個人旅行

株式会社ソフィア社長 川﨑 知さん

 来春、ウズベキスタンで遺跡発掘とアレキサンドロス大王の戦跡を巡る世界初のツアーが行われる。企画した川﨑知さんにシニアにとっての旅について聞いた。


 1974年、友人数人と演劇をやるために稼ぐ方法として始めたのが格安航空券の販売でした。その当時、格安チケットを買う人たちは自分の旅のスタイルを持ち、旅本来の面白さを知っている人たちでしたから、一般的に旅に安さを求めるようになった今とは状況が違っていました。

 それから旅行業に携わり、たまたまイラン人と知り合ったことがきっかけでイランを訪れ、日本とは違う価値観を見出しました。

 ところが、イランについて情報を集めようと図書館を巡ってみましが、まったくそこだけ情報が抜け落ちているのです。以来、人のつながりから情報を得ようと、中近東や中央アジアの国々の研究会グループに顔を出すようになりました。そこには学術情報もありますが、興味を引いたのはその国に何度も足を運ぶリピーターたちからの生の情報でした。

 旅行業は情報産業だと思います。今はインターネットによってさまざまな情報がオープンになっていますが、やはり生きた情報とは人のつながりでしかないでしょう。ウズベキスタンの遺跡発掘と史跡を巡るツアーが企画できたのも、素人の専門家がいたからです。

 私がこれからの退職者に勧めたいのは個人旅行です。初めて個人旅行をするには不安もあるでしょう。でも、最初からうまくいかないのは当たり前。ポイントは私たち旅行代理店がどこまで安心感を与えられるかということと、自分と波長の合う旅のコーディネーターと出会えるかということです。

 イランに行くと、日本人が知るイランの情報はアメリカ側からの偏った情報だということがよくわかります。イラン人はこう言います。「日本人はお金や仕事がなくなると悲しいと言う。でも、それより友人や家族が困っているほうが私は悲しい」。例えばそういう価値観に出会えるのが旅であり、自分の生き方を考えさせられるのです。
(2008.10.01)