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りらいぶジャーナル

旅想

内田 廣著(個人書店)2000円

 自分史を手がける場合、旅の体験を素材とすることがある。本書もその一つ、著者の若き日のアメリカ留学に始まり、国内外のさまざまな旅が記される。
 滑らかな文体で淡々と書き上げられ、著者の人柄と著者らしさという味がにじみ出ている。特に留学体験は生き生きとした躍動感が伝わってくる。

 だが、実は著者は自分史講座に通っていたのだが、そこで文章を書きながら、「いかに自分はドラマのない人生を送ったのか」を思い知らされる。本を書くという過程で自身を見つめ直していたのだ。文章にするということの意味を知る一冊でもある。