Skip navigation.
りらいぶジャーナル

無添加食品イコール安全?

■言わせてもらおう 私の提言 -井口恒夫-

 「あなたの安心」という新聞記事で「添加物にも天然のものがあるなんて、初めて知りました」という30代主婦の話を読み、これが今の世間常識かと改めて驚いた。

 食品添加物は厚生労働大臣の許可(指定)や取り消し(消除)によって増減するのでいくつあるとは断言できないが、総数約1500品目のうち、いわゆる天然添加物数はおよそ80パーセント。これらは加工食品に限らず飲食店でも使える。スーパーに並ぶ包装加工食品の添加物にはいたく神経質な消費者も、飲食店で食事をするときにはまったく気にしないらしい。

 日本で非指定の添加物が海外で使われていることがあるが、海外旅行者はそんなことは一切気にせず、「うまかった」という自慢話ばかりで、旅行会社も「食事には添加物を一切使っていません」などとは広告しない。無添加食品イコール安全という非科学的風潮はすっかりこの日本に定着してしまったようだ。

 たらこは着色したほうが売れるという。紅白のかまぼこはお正月には必ず重箱に収まっている。野菜色素などを使ったボケた赤色も添加物である。食品添加物で体調を崩した、中毒を起こしたといった話があれば、新聞・テレビは大騒ぎをして取り上げるだろうが、寡聞にして聞かない。
 この何とも錯綜した消費者心理はどうすれば解きほぐせるのだろうか。

【井口恒夫】退職後に10代の若者たちに混じり、専門学校で調理師免許取得。食品衛生の仕事に携わりながら、地元の少年補導員としても活躍中