Skip navigation.
りらいぶジャーナル

食は新潟にあり―新潟の風土・食・食文化―

本間伸夫著(新潟日報事業社)1680円

 日本有数の米どころであり、また、海の幸豊富な日本海に面した新潟は食と食文化の宝庫であると言って過言ではない。「新潟は食べ物がおいしいですね」と言い残す県外からの旅行者も後を絶たないという。本書は新潟で長年食文化論を研究してきた本間伸夫・新潟女子短期大名誉教授が、そうした新潟の食と食文化を網羅的に取り上げた1冊である。

 例えば「柿の種」。全国的にも有名な米菓だが、発祥が新潟県であり、しかも大正13年(1924年)生まれの歴史ある菓子であることはあまり知られていないだろう。ほかにも興味深いエピソードには事欠かない。そば、茶、寿司から洋菓子・和菓子、酒に鍋と、あらゆるジャンルの特産品が掲載されており、新潟の食文化の広さ、深さを感じさせる。

 本書は地元紙に掲載された連載記事が基となっているが、特徴的なのは様々な食品類の記事を「春夏秋冬」の時系列で編纂し直している点だ。また新潟県を食文化ごとに独自に「地域分け」しているのも興味深い。