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りらいぶジャーナル

エコツーリズムの必須条件

タイで“グリーンツーリズム”-6-

 世界的には1980年にサステイナブルツーリズム(持続可能な観光)が叫ばれ始めた。これは従来のマスツーリズムが自然環境や地域文化を破壊するなどの問題を引き起こしてきたことから生み出された観光形態のあり方だ。その後、自然環境や景観の優れた農村地帯の農家に長期滞在するグリーンツーリズム、自然環境、文化、歴史など地域資源の魅力を活用したエコツーリズムが登場した。

 「エコツーリズムには果たすべき3つの目的がある」と話すのはツーリズム学会監事で旅行学が専門の竹嶋寛さんだ。

「3つの目的とは、地域の自然・文化資源の保護と保全、地域固有の資源を活かした観光の設立と推進、地域経済の活性化です。この3つをともに成立させることが肝要です」

 つまり、地域の資源の持続なくして観光は設立しない、地域住民の参画なくしては資源は守れない、経済効果なくしては住民の参画は望めない。3つの目的が成立しなければエコツーリズムとはいえないということだ。

 この考え方を具体的に商品化したものをエコツアーという。ただし、エコツアーには考え方が多種多様あり、その内容もホエールウォッチングやバードウォッチングのような野生生物の観察、トレッキング、カヌー、秘境ツアー、植林活動、ゴミ拾い登山などさまざまである。

 そして、もう一つ大事なのは「インタープリター」の存在だと竹嶋さんは指摘する。

「インタープリターとは訪問者に対し、説明や知識の伝達だけでなく、楽しませたり、啓発したり、能動的な参加を促したりするコーディネーター的な役割を担います。さらに、地域の自然資源や環境保全行政に対する理解を深めさせ、その地域にふさわしい利用を促すための教育活動を提供するのです。エコツアーにはインタープリターの介在が必須なのです」

 エコツーリズムを支えるのは人。単なる観光産業というわけではないのだ。

▽続く
7. エコツアー参加の心得
8. エコツアーが抱える問題

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1. ジャングルの川下り バンブーラフティング
2. ソック湖の奇岩群と水上バンガロー
3. リトル・アマゾンの船旅
4. エコを実践するホテル
5. タイのグリーンツーリズム