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りらいぶジャーナル

三若さん、聴衆を魅了

りらいぶ落語会
朗読会では故人偲ぶ

 桂三若さんは体調が悪かったにもかかわらず出演され、お越しいただいた観客のみなさんをいつものように笑いの世界にご案内いただきました。3歳の愛息を膝の上に乗せ、ご自分の体調の悪さをテーマにアドリブでの新作落語で聴衆を魅了されました。プロ根性の真髄を見ました。

 引き続き、人気絶頂のラジオパーソナリティー小山乃里子さんが、林武夫さんが著した『邪鬼の視線』を朗読されました。

 林さんは昨春の落語会にお越しいただいた方で、ご自身の人生と闘病生活をつづった本『邪鬼の視線』を自費出版されていました。私も拝読し、大変感銘を受けましたので、ご本人に今回の落語会で朗読していただくことにしました。けれども、当日の3日前にお亡くなりになったのです。そのため、故人を偲んでの朗読となりました。

 不屈の精神で闘病生活を何度も乗り越えてこられた林さん。そのご遺族や親友を前にしての朗読は一層悲しく印象的なものでした。合掌。【阿賀敏雄】

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『邪鬼の視線』林武夫著

 著者はがんを患ったが、手術はしないでがんと闘うと決心した。一代で築いた自動車部品メーカーもそれを機に清算するつもりでいたが、社員の前向きな態度から継続することを決断する。

 そこで著者は社員や取引先、知人に向け自身をより知ってもらうために筆を執った。前半で理念や自身の哲学が語られる。後半は闘病記だ。だが、そこにも林武夫という人物の考え方が行動に表れる。生きるとはどういうことか、そして会社としての歩み方はいかにあるべきかが伝わってくる。

 昨年10月、69歳で永眠。しかし、本書が後を継ぐ者の手に遺された。著者の魂をも継ぐ媒体となるのだろう。
(2011.01.19)