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りらいぶジャーナル

出版後の読者感想をデータ化

「もっと気軽に出版を」呼びかけ
“自費出版の伝道師”内藤聰さん
『残りものに幸せの絆―私は家族のチビ―』内藤聰著『ドッサンのつぶやき―パソコン・キャンバスに思いのままを―』内藤聰著(武田出版)

 定年直前まで病院経営コンサルタントとしての仕事がぎっしり詰まっていたという内藤聰さん(69)。当然、退職後のことは考えられない。仕事仲間が「定年になったらやることがなくて困るだろう」と次の仕事を用意したくらいだ。「仕事の奴隷ですよ、私は。それも自分で奴隷になっていました」


 仕事以外、何も見ていなかったことに気付いた内藤さんは暇になると街で、電車内で、また自分を振り返るなどして見えてきたことをパソコンに書き溜めていった。同時に飼い猫視点で書いた猫のエッセーもまとめ、それらをホームページに公開していった。ただダウンロードが重かったこと、他の人にも見てもらいたかったことで出版した。前者が『ドッサンのつぶやき―パソコン・キャンバスに思いのままを―』、後者が『残りものに幸せの絆―私は家族のチビ―』だ。「庭先盆栽のようなものなのでしょうか。活字にして見せたい、形にしたいと思いましたね」


 そして双方100部を出版、「まず知り合い30人に黙って本を送ったら、いろいろと反応してくれました」。さらに武田出版が発行する新刊ニュースのコピーをコンサルタントの後輩指導に行くたびにただ配った。そこからも読後の感想をE-メールや手紙で寄せてくれたという。
「こんなに反応があるとは想定外でした。同年代の人が多いんですが、それぞれ自分に重ねて読んでくれる。気持ちの共有ができるんですね」

 そこで内藤さんはすべての反応をデータ化した。すると意外なことがわかったという。「自伝、随筆、詩歌、郷土史など何かしら作品を書き溜めて持っている人が1割くらいいたんです」

 内藤さんはみなに「形にしたほうがいい」と伝えたが、まだ本にするまでには至っていないという。「もっと気軽に作ればいいのに」と、内藤さんはこれから「自費出版の伝道師」として役立ちたいと意気込んでいる。
●『残りものに幸せの絆―私は家族のチビ―』内藤聰著(武田出版)840円
●『ドッサンのつぶやき―パソコン・キャンバスに思いのままを―』内藤聰著(武田出版)840円
(2010.05.07)


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