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りらいぶジャーナル

中国、シニアに熱い視線

 中国からの日本語教師派遣プロジェクトは順調に推移し、すでに応募者らと面接。中国側の回答を待つ段階の人もいる。また、自身の目で現地視察をした人もいる。本紙は採用確定後には派遣者の横顔ならびにその後の現地報告などもお届けしていく。なお、12月4日から4日間の予定で2回目の肇慶市視察も行う予定で、参加者も募る。
【大場洋司・R&I国際人材交流委員会代表】

中国語は必要なし
生の日本語を熱望

 一口に日本語教師といっても、中国側が希望するのは「ネイティブ・スピーカー」だ。つまり中国語を話せなくても問題なく、日本語の正確な読み書きや発音が最優先されている。しかも受講する学生の就職希望先が日本企業とあらば、あいさつ、習慣はもちろん日本式の稟議書や企画書などの慣習を教示できる経験豊かなリタイアリーはまさに理想の教師とされているようだ。

 したがって、外国語ができないからと躊躇(ちゅうちょ)されていても心配はいらない。日本文化を広め、まさに国際交流と貢献ができるよいチャンスだと考えるべきだろう。もちろん、教材などもあらかじめ用意されているため、カリキュラムに沿って教壇に立てばいい。

 中国の場合、大卒者の就職率は60%ほどで、高い理想や人生設計を持つ学生はもうひとつ付加価値をつけたがる。それが外国語であり、日本語というわけである。

 日本企業への就職には高いハードルがある代わりに待遇もいいと聞く。だから、これにIT技術を修得すればまさに鬼に金棒。毎月2000元(数万円)もの高額の授業料を払ってでも日本語を修得したいという学生が多いのは、自分に投資することの将来の見返りと安定なのかもしれない。いわば、激化する市場経済社会の縮図といってよいだろう。

技術者派遣にオファーも
日本に強い協力要請

 こうした中国からの人材交流の輪は日本語教師にとどまらない。日本と中国との間で火力発電所による省エネ発電に向けた協力が本格的に始動したことを受けて、R&Iにも発電所に関わる技術者派遣要請が舞い込んできた。

 リストラに遭った技術者、リタイアした技術経験者の就職や人材交流を推進する(株)国際技術士事務所(東京都新宿区)が窓口となり、環境整備が急がれる火力発電所の技術士、特にタービン、ボイラー、ジェネレーターなどの技術経験者が求められている。詳細は追って報告するが、待遇は破格の条件になる見込みという。

日本人シニアの能力に高評価
中国語不要、日本のキャリアを重視
――現地窓口担当者に聞く

 杭州市からも日本語教師およびIT人材派遣要請が来ていることは何度か既報した。招へい窓口になっているのが杭州東忠軟件有限公司。そこで、今回来日した同社役員堀池武史氏(=写真)に中国側の具体的な意図・要望と現地事情を伺った。

 「これからの中国に本当に必要なのは管理能力や業務知識。いわばプロジェクトマネジメントです。そこで、リタイアした経験豊かな日本人が必要なんです。

 何しろこの世代は日本経済を担ってきた人たちで管理、技術能力に定評がある。日本語教師も然り。下手な中国語を駆使するよりすべて日本語で押し通したほうが迫力があるし、学生も喜びます。いずれも日本人の経験が存分に生かせるんです。

 私は杭州市に住んで2年になりますが、衣食住含めてこんなに住みやすい街はないと思う。埋もれた人材である日本のシニアのみなさんにぜひ来ていただきたいのです。歓迎されますよ」
(2008.11.07)