Skip navigation.
りらいぶジャーナル

<48>最後の授業

 2009年の年末、現在受け持っている2クラスの最後の授業を終えました。勉強を始めて5カ月くらい経ったクラスは、みんな使える文法が増えてきて以前に比べて長く上手に話ができるようになってきました。もちろん個人差はありますし、考えながら話すので時間がかかります。それでも話を先取りしないように「聞く」ことが大切。それが私がここで学んだことの一つです。

 私が正しい日本語で言ってしまうのは簡単ですが、それでは彼らの「考えて」「気づく」チャンスを奪ってしまうことになります。話したいことを何度も「考える」こと。それを繰り返すことで言葉は定着するものなんだということを、私はここで身をもって知りました。

 もう一つのクラスは勉強を始めて3カ月が過ぎたころでしょうか。こちらはようやく少し「おしゃべり」らしきものができるようになったばかりといったところです。先のクラスが比較的真面目で静かなのに比べ、このクラスは非常に明るくて活発でした。彼らが理解できたかどうかは顔色を見るまでもなく、すぐに反応が返ってくる、という意味ではとてもやりやすかったです。授業を始めたころは一番やる気がなく、周りを巻き込んでおしゃべりばかりしていて「大丈夫かな」と思っていた学生が最後の授業を終えた日、日本語の手紙付きで私に餞別をくれたのには感動しました。これからも、もっともっと日本語を好きになって、この先の人生の幅を広げてほしいと思います。

 2クラスとも残りの訓練期間を他の2人の先生に引き継ぎました。卒業を見届けることができないのは少し心残りですが、無事就職するまでがんばって訓練を続けてくれることを心より願っています。
★バックナンバー⇒こちら

さんべ・きょうこ●短大卒業後、ホテルなどでのブライダル関係のプロデュ-ス会社を経て、ソフト開発会社での開発デザインおよび新人マナー研修業務などを歴任後退職。在職中に中国に魅せられ、北京や山東省を中心に度々訪問。開封市(河南省)での短期留学や大連への2カ月の出張経験などを持つ。