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りらいぶジャーナル

体力、知力がものをいうCA業務

■回想~フライトに捧げた40年 -石川真澄-

 一見、華やかに思えるCA(キャビン・アテンダント)ですが、実のところ相当な体力と知力、機転が要求されます。お客様への快適なサービスはもちろんですが、いざというときの保安要員としての役割がより重視されます。安全運航には地上の整備力、パイロットの操縦技術と判断力、そしてキャビン・クルーのバックアップが不可欠です。

 年に一度の救難訓練日には羽田空港で厳しい訓練が行われます。午前中に座学とテスト。この試験は安全に関わる知識向上が目的ですが、内容はかなり高度で、規定以下だと乗務停止の憂き目に遭うことも。日本では運輸省(現国土交通省)の監査もありますが、欧州の航空会社では国家試験制度になっているほど重視されています。

 試験の後はパイロットと機内におけるコミュニケーションなどの再認識があり、午後は格納庫に設営された「モックアップ」と呼ばれる実機と同様のシミュレーション機内でカバーオールを着て訓練。現在は6機種程度の緊急時のドア操作方法やスライドラフト(救命滑り台、救命ボート)と非常用機材の使用方法などの確認。後半は突発事態、予告事態を想定し、音、光、煙の中でマニュアルに沿って実施。新人のころは東京湾に救命ボートを浮かべて海上訓練を行ったこともありますが、現在はモックアップに併設されたプールで海上脱出を想定して行います。

(海上脱出のRAFTです。これがドアの中に内蔵されています)
(陸上脱出では滑り台になります)

 このようにCAたちは常日ごろ実に厳しい訓練を受けているのですが、華奢(きゃしゃ)に見える彼女たちは細腕一本で重いドアを開閉したり、脳裏ではあらゆる事態を想定しつつ、お客様に対してはにこやかに立ち振る舞うことを使命とされているのです。
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【いしかわますみ】海外ライフ・コンサルタント。1968年日本航空に入社後、アテンダント(スチュワ-デス)、アシスタントパーサー、パーサーを経て、90年からチーフパーサーとして後進の指導・育成に当たり、2009年退社。40年間のフライト乗務時間は地球560周分に相当。R&I会員の横顔「日航40年のキャリアでシニア支援活動も」