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りらいぶジャーナル

健やかなる日本の実現を目指して――賢い消費者になるための情報とイベントを提供

NPO法人国連支援交流協会理事 四角恒帆さん

 R&Iでは10月、NPO法人国連支援交流協会と共催でシンポジウムを開催する(⇒R&I-Web詳細)。健康や医療、社会的弱者の人権をテーマとしている同協会理事の四角恒帆氏に、その活動の趣旨を聞いた。

 私は大学で学んだ民族学、そして過去20年間、南米との貿易で携わるようになった伝統的な民間医療や健康食品の分野から健康・医療に関心を持ちました。そこで西洋医療一辺倒ではなく、人間本来の自然治癒力を引き出すための代替医療の重要性に気付きました。西洋医療と代替医療との相互のコラボレーションによる統合医療こそ、「医療崩壊」と叫ばれさまざまな問題を噴出させている現代日本の医療を変革する力になると確信したのです。


 それから、統合医療に理解があり、「医は算術ではない。医者という職業がなくなるために日夜努力している」という、本当に患者の立場に立って指導してくださる医師たちと知り合うことができました。

 2008年10月には渥美和彦東京大学医学部名誉教授を理事長とする日本統合医療学会が設立されました。それと同時に渥美先生の依頼を受け、同学会と連動する形で市民レベルで統合医療の啓蒙活動をするために国際統合医療推進市民機構を立ち上げたのです。これがNPO法人国連支援交流協会で支部に認められ、私は理事として就任、メディカル市民フォーラム支部として今年1月に立ち上げ、正式に事業部となりました。

 健やかなる日本の実現、そして安心・安全な善循環社会の再生を理念とし、自立した患者・消費者の教育機関として機能していきます。統合医療の教育・啓蒙を行う統合・代替医療推進委員会と、これを具体化するためのナイチンゲールスピリット委員会が活動の2本柱です。ナイチンゲールスピリット委員会では医療崩壊を食い止めるために潜在看護師60万人の活用を模索しています。この2本柱を両立させることで日本の医療を草の根主導で改革していくのが目的です。

 私が貿易の仕事を通じて海外から日本を見たとき、私たち日本人は確固たる意見を持たずに行動する付和雷同的な傾向があると感じていました。しかし、目指す健やかな日本の未来の実現のためには、一人ひとりがもっと勉強して、自分で考えて行動できる賢い消費者、賢い患者にならなければなりません。

 また未曾有の自殺者であふれ、お互いの生を尊重できなくなってしまった今日の日本は異常な社会です。今こそ必要なのはいろいろな意味で教育なのではないでしょうか。そのなかで一番大事なテーマが心と体の健康です。健康さえあれば、健全な社会が築けると信じています。

 それに「食は医なり」といわれます。食べ物の情報も共有すべきことです。するとファーストフードのこともインスタント食品のことも自然食品のこともわかり、何がいいか悪いかを自分で選択することができます。

 これからは自分の体は自分で守る、情報に翻弄(ほんろう)されずに見識を持つこと、どういう人生を歩むのか、どんな死を望むのか、自分が選択するということを認識すべきでしょう。健康なのか不健康なのか、すべて自分が選択している人生であって、責任は他者にはないのです。

 医療も本人の意思によるところが大いにあります。病気になったらいかに自立した患者になるかが大事です。そのために病気になる前から情報を仕入れておくべきです。紫外線や電磁波、食品汚染、ウイルス、外来生物などの脅威が増しているなか、みんなが賢くなって何よりも相互扶助の精神を重んじること。私たちはそのための情報を伝えたいと考えています。

 私たちの活動のもう一つのテーマが社会的弱者の人権です。これは障害者の方々のノーマライゼーションについてで、障害を持ったアーティストや障害者の家族の支援なども活動の柱にしていきたいと思っています。

 リタイア世代にとっては生涯自立して賢く生を全うしていくことが家族の幸せになり、日本の医療の幸せになり、ひいては地球の幸せにつながります。それにはまず一人ひとりが自分の健康を管理すること、介護されない体を作ることがとても大事です。
 統合医療の哲学を草の根に浸透させるため、現在7~12月までの期間、市民のための統合医療塾を行っています。看護師、薬剤師、セラピスト、トレーナーなどを対処にし、彼ら彼女らが一般市民に統合医療を伝えられるよう研修しています。来年にはカウンセリングシステムを立ち上げようと準備中です。

 私自身リタイアの年齢になりつつあります。けれども自分たちは高度成長期をうまくすり抜けて年金ももらえると喜んでいる場合ではないと思います。現在のままではリタイア世代と今の10~20代とを比べたら、若い層がどんどん過酷になることは明らかです。リタイア世代が次世代に少しでもよい道を付けなければ申し訳ないと思います。私はこうした事態を手をこまねいて見ておられず、何かしなければとこみ上げるものがありました。私たちで負のスパイラルを正のスパイラルに変えないといけないという使命感に燃えています。

 例えば、家族が崩壊しています。母から娘への口伝がなくなり、若い母親が幼子を抱えて孤立することも多くなっているのが現状です。これからは狭義の家族観も変わるべきで、子どもは社会の宝物、社会みんなで子どもを育てるという意識も必要になってくると思います。そのためにリタイア世代は生きた情報を次世代に伝えることがとても大切です。

 戦争体験者もどんどん減っていきます。私自身も直接戦争を知らないのですが、遺族だと思っています。四角家の長男が学徒出陣で亡くなり、母は一人娘だったので養子を取りました。もし伯父が生きていたら、私は存在しなかったことになります。多くの先祖の犠牲のもとに私たちの幸せが成り立っていることを認識すべきです。そして私たちも次世代の礎となるべきなのです。

 10月24日には、R&Iと共催でシンポジウムを開催します。テーマは「これでいいのか現代医療 クオリティ・オブ・デスの考察」(⇒R&I-Web詳細)。QOL(クオリティ・オブ・ライフ)と同じように、QOD(クオリティ・オブ・デス)が大事になっているのではないでしょうか。いかに死ぬかはいかに生きるかである、というメッセージを送りたいと考えています。そこで日本の医療の現状について、なかなか表には出て来ない本音の部分を人気キャスターや医師たちに語っていただきます。

 私たちの活動は地味ですが、フォーラムやシンポジウムを企画し、そこに人が集まるムードを作っていきます。一人でも多くの方に参加していただき、健康をテーマに自分の生き方を深く考える場を提供したいと思っています。また自然農法体験や海外のパワースポット訪問など健康をテーマとした楽しいイベントも企画していきます。ぜひみなさんにもメディカル市民フォーラムに参画していただき、健やかなる日本の未来のために活動していきましょう。

しかくつねほ●1954年大阪府生まれ。国立民族学博物館学芸員、私塾経営を経て現在健康関連原材料の輸入・販売などを行う蒼基株式会社社長も務める。
(2009.09.07)

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