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りらいぶジャーナル

中国にも豪華高齢者施設

杭州のリタイアメントホームに入居申込殺到
 ――坂内 正(RJ編集委員)


 中国・杭州に5月オープンをめざして急ピッチで完成が急がれているのが退職者向け高級有料ホーム「金色年華」(=写真。杭州市郊外に建つ高級高齢者施設「金色年華」)だ。平均的なタイプの部屋で約80平方メートル、全戸キッチン、バス・シャワー付のコンドミニアム型で、定住者向け400室のほか要介護者向けやビジター用、さらには病院もあり、今春締切りの第1期で約1000名の収容をめざしている。2月には予定の約5倍が応募しており、うれしい悲鳴をあげているとのこと。

 入居には最低でも保証金30~40万元(約500万円以上)、毎月の維持管理費2000~3000元(約3万2000~4万8000円)はかかるとされる。応募者の内訳は公務員、医師、教員とそのリタイア組のほか、近くの一戸建ての別荘からの移転希望者も少なくなく、地元がほとんどだという。

 単純な比較は困難だが、江南地域の労働者の所得が仮に日本の5分の1とすると、日本の感覚で最低保証金は2500万円かかる。

 日本の約10倍の人口を擁する中国で、こうした施設に入居できるのはほんの一握りの限られた層。繁栄する都市と置き去りにされがちな農村という構図はその通りだが、農村間によってもまた格差が広がっている。そのうえ、中国の年金制度は行政単位によって異なり、ますますその差が開くようになっている。

 一方で、初めての入居募集に応募者が殺到するという現実もある。ある意味、日本以上のスピードで少子高齢化と格差拡大が進む中国社会のもう一つの側面の証しであることもまぎれもない事実なのだ。

(2008.03.19)