Skip navigation.
りらいぶジャーナル

りらいぶのヒント 介助士に

R&I、サービス介助士2級取得を支援
自分見つめるきっかけ、おもてなしの心

 駅や空港、ホテル、銀行、行政機関などあらゆる場所で高齢者や障害者などの手助けをするサービス介助士。そのほとんどが企業の社員だ。しかし、サービス介助士が身につける技術やその精神性は高齢社会・日本に生きるあらゆる人にとって有益となる。特にシニアにとっては自身の問題となる可能性が高いうえに、りらいぶを実現するための心構えとしても大切な要素を兼ね備えている。

 R&Iではこのたび、サービス介助士の普及・啓蒙活動を行っているNPO法人日本ケアフィットサービス協会(東京都千代田区、畑中稔理事長=Views参照)と提携し、R&I会員に向けてサービス介助士2級検定取得講座を推奨していくこととなった。
 そこで、同協会でインストラクターを務める根本明美氏にサービス介助士がめざす役割と講座の内容について聞いた。

――サービス介助士とはそもそも何をするのでしょうか。

「日本は超高齢社会を迎えました。さらに、2006年にバリアフリー新法が施行されハード面の環境が整い、高齢者も障がい者も街に出やすくなったのですが、受け入れる側の対応は十分といえるでしょうか。街中に出ていらした高齢者や障がい者に喜んでいただけるよう、おもてなしの心と介助技術を身に付け、お客様をお迎えできたらと考えます。

サービス介助士は食事や入浴、排泄といった介護福祉士やヘルパーがお手伝いする分野ではなく、街中でほんのちょっとしたコツを知っていれば誰でもできる介助技術を身に付け、安全に手伝うことを第一に、介助を受ける方の生活の質(QOL)を高めるための手助けを行います。例えば、車いすご利用の方へのお手伝いや目の不自由な方のご案内などです。
つまり、高齢になっても街に積極的に出て活動することのできる環境を人の手によって作るのです」

――サービス介助士が大事にしていることは何ですか。

「ホスピタリティ・マインド、おもてなしの心です。お客様に喜んでいただくことで介助する自分も喜びが与えられるという共生の関係です。技術は練習すればできるようになるかもしれませんが、その技術に心が伴なわなければ本当のサービスとはいえないでしょう。最近、介護の現場でもおもてなしの心を取り入れようという動きが出てきています。

 そして 私たちの考えの中心にあるのは『ジェロントロジー(gerontology)』(創齢学)です。自分自身が年を取っても元気でいることは、自分のためだけでなく、そのこと自体が社会貢献でもあります。また、サービス介助士として社会参加をすることで、人のお役に立てるだけでなく、自分を見つめるきっかけとも成り得ると思います。

 サービス介助士の教習に参加したり、実際に身近なところでお手伝いしたりすることで、介助する相手や社会、そして自分自身のことに多くの“気づき”があると思います。これを大事にしてほしいですね」

(サービス介助士2級取得の流れ(NPO法人日本ケアフィットサービス協会リーフレットより)

――講座では具体的にどんなことを勉強するのですか。

 「まずは自宅学習です。基本理念、ホスピタリティ・マインド、高齢者や障がい者への理解、介助技術などについてテキストを読みながら100問の課題を解きます。60点以上で合格、2日間の実技教習に進みます。実技教習の初めに足や腕に重りを、膝と肘にはサポーターを付け、耳には耳栓、目には白内障ゴーグルを付けて高齢者疑似体験をします。

 疑似的に高齢者になって身体的不自由や精神的な不安を自ら感じていただくことで、元気な私たちが何をしたらいのだろうかという“気づき”を得ることができます。
 さらに車いすの操作方法や耳の不自由な方とのコミュニケーション方法、目の不自由な方をご案内する方法を実践的に学びます。そして、最後にこれらを応用できるようにロールプレーイングを行います。

 すべてが終了後、筆記による検定試験を行い、70点以上の合格者にはサービス介助士2級が認定されます」

――シニアがサービス介助士を取得することで期待されることは何でしょうか。

「私たちは人との関わりなしでは生きていけないでしょう。サービス介助士として街でお手伝いをするときは、おそらく初めて会う方に声をかけることが多いと思いますが、そのとき相手によい印象を持っていただき、お互いに関わって良かったと思える人間関係作りの一助になっていきます。

 そして、自分自身が何らかのお手伝いができるということで社会参加につながります。同時に、この教習で得た“気づき”で自分を見つめ直すことができ、さらに自分の人生設計を考えるきっかけになると思います。これらのことは第2の人生をスタートする際の礎となるでしょう」
(2009.05.14)


関連記事
70歳で介助士資格 別世界へのステップに おもちゃドクターにも深み増す
気づきの大切さ伝えるサービス介助士 ケアフィットの理念、世界へ発信 畑中 稔さん