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りらいぶジャーナル

「“古いけれども”、新しい」発見

■言わせてもらおう 私の提言 -井口恒夫-

 最近、「“古いけれども”、新しい」という百貨店の広告を見て、かって滞在したタイ王国を思い出した。最初が1963年からの3年間だから、そろそろ半世紀を迎える。簡単には出国できなかった時代で、日系企業や日本人もごくわずかだった。

 クルングテープ(首都バンコクの略称)の街には運河が縦横に走り、東洋のベニスそのものだった。11月のローイ・クラトン(燈籠流し)には、カオラット(栗)を炒る香ばしい香りが漂うなかでたくさんの燈籠が浮かべられ、樹木の下をゆらゆらと流れていくあの熱帯の夜は、何とも幻想的な風情だった。

 2回目は1981年からの4年間で、もう運河は埋め尽くされ、市内の各所で渋滞が発生していた。仕事柄、近隣諸国にも顔を出したが、そのひとつがアンコールワットで、今でも人気のスポットと聞いている。

 それが最近になって、びっくりするような話があった。なんと「隠れアンコールワット」があるという。東部ウボン・ラチャタニーから車で1時間のカンボジアとの国境にあって、アンコールワットをしのぐ「カオ・プラ・ウイハーン」遺跡だそうだ。王国には親しい友人たちもいて、知らないことはないと勝手に思い込んでいた者としては赤面の至りである。

 「知る人ぞ知る」、こんな「“古いけれども”、新しい」という話もあるものだ。

【井口恒夫】退職後に10代の若者たちに混じり、専門学校で調理師免許取得。食品衛生の仕事に携わりながら、地元の少年補導員としても活躍中