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りらいぶジャーナル

日本人は「国際化」できない?

■言わせてもらおう 私の提言 -井口恒夫-

 ワシントンで、訪問先の事務所近くまで行ったがわからず、何人かに聞いたが、誰もがデタラメを教えてくれていたのには驚いた。外国で道を聞いたりすると、彼らは知らなくても知っているふりをすることが多いから困る。

 外国人が置いた網棚の荷物が電車の揺れで落ちそうになっている。どうするか。実に簡単なことで、「あぶないーっ!」と大声で指差しすればよい。その外国人も見上げ、荷物を置き直すだろう。何も英語でどう話そうかなんて考える必要はない。道を聞かれたら、これも手まね・指差しを合わせた立派なブロークンイングリッシュで通じるはずだ。

 日本にはチップという習慣はない。これは国際的な風習らしいが、わが国には根付かなかった。かつては心付けなどと呼ばれた習慣はあったが、今ではほとんど死語となってしまった。

 エジプト出身のタレント、フィフィさんによると、日本人は話しかけるのが苦手で、道で迷っている外国人を見てもなかなか話さず、もう少しお節介になってもいい、勇気を出して話しかけてみたら本当の国際化が進むのではないかという。しかし、英会話が堪能であることなどがイコール国際化というようなものなのだろうか。

 振り返って、戦後もすでに60年余りも経って国際化が進まないと言われるなら、それが日本の特質なのだから、それはそれでいいのではないかと思う。

【井口恒夫】退職後に10代の若者たちに混じり、専門学校で調理師免許取得。食品衛生の仕事に携わりながら、地元の少年補導員としても活躍中