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りらいぶジャーナル

まちづくりのスペシャリスト育成塾スタート

人、自治体、企業など新たな関係性構築

 参加型まちづくりを実践するための人材育成への取り組みが始まった。社団法人コミュニティネットワーク協会(CN協会、神代尚芳会長)は1月から3月にかけ、「地域プロデューサー養成塾」を開講、自治体や企業、NPO、地域住民らと連携して持続可能なまちづくりを実践するスペシャリストを育成する。


 第1期の開講を記念して1月10日に開催されたフォーラムでは、早稲田大学大学院教授で元三重県知事の北川正恭氏(=左写真)が基調講演を行った。北川氏は選挙でマニュフェストを提唱した経験から、「気づくことが変化につながる」と語り、「今まさに、住民自らまちを作るという意識あるプロデューサーの力が必要だ」と主張した。


 後半のパネルディスカッション(=右写真)では、京都府京丹後市で森林酪農など循環型社会への取り組みを実践している熊野英介アミタ株式会社社長が事業の内容を説明、「工業化された森林業からの脱却を図るため、風景、生物、風土、祭り、伝統などの“恵”を人の力によって表現し、可視化した。具体的に安全な食品を提供するなどQOL(クオリティー・オブ・ライフ)を上げることで収入を上げられる」と主張、「人と人、人と社会、人と自然といった関係性を創るのが地域プロデューサー。共感性のリーダーシップが重要」と人材に求められる資質を指摘した。また、「現代は衣食住に足りても孤独が問題。関係性をどう作るか、またそれでどう経済的に成り立たせるかが課題」と語った。
 また、同じくパネリストの東北大学大学院特任教授で、以前株式会社カタログハウスの媒体編集を担当していた竹本徳子氏は、「人間の基本的ニーズは何かを考えるべき。地域プロデューサーには生計、理解、安全、創造性、自由、アイデンティティなど多くのニーズが備わっていることが求められる」と語り、リタイア層に対しては「どうしたいのかを明確にすべき。ただ成功事例は役に立たない。また事業化しないと長続きしない」と言及、さらに「女性がトップを切るとイメージが良い」と述べ、「創造力」「思いやり」「がんばらない」「あきらめない」をキーワードに、「“万年思考停止病”から脱却すべき」と強調した。
 コーディネーターを務めた近山恵子CN協会理事長は、「仲間で学ぶことが必要。参加する場をどう作っていくか、どう働くか、具体的に考えていきたい」と語った。
 同塾生は20名、講師には内山節立教大学教授、鈴木進株式会社インテグラルコンサルタンツ代表取締役、作家の立松和平氏など。塾生らは理念、基礎理論、技術を学び、3月21日にはプレゼンテーションを行って修了する。
(2009.01.17)