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りらいぶジャーナル

栄養価高い“ミドリムシ”を健康食品に

食糧・環境問題にも一役
東大ベンチャーのユーグレナが開発

 クッキー1枚に約2億匹のミドリムシが含まれているとして、東京・お台場の日本科学未来館が企画展に合わせて発売した「ミドリムシクッキー」(450円)は、素材の物珍しさから6カ月間で3万箱を売り上げる爆発的な人気商品となっている。開発したのは株式会社ユーグレナ。しかし、ミドリムシは栄養価の高い機能性食品の素材としても注目されている。

 ミドリムシの学名はユーグレナで、同社名はここから名付けられた。ユーグレナに関する研究は1950年代からアメリカなどで始まっており、日本でも30年ほど前から多くの研究者が論文を発表しているという。

 同社も東京大学で行われていた研究から生まれた大学発のベンチャー企業だ。ユーグレナの特色のひとつは栄養価が非常に高く、そこには肉や魚の栄養素も含まれていること。ビタミン、ミネラル、アミノ酸など59種類の栄養素のなかには肉類に多いビタミンB群や魚に多い不飽和脂肪酸も含まれている。これはユーグレナが動物と植物の中間体であることに由来している。

 また植物の細胞には硬い細胞壁が存在するが、ユーグレナにはそれがない。そのため体内での消化吸収率も高い。さらに、ユーグレナが独自に含有するβ-グルカンの一種パラミロンの存在も大きい。「パラミロンの構造はちょうど炭に似ており、炭のように空いた微細な孔に不要物を吸着させる力が強力です。つまり、不要物の排出を促す働きもあります。また、ユーグレナが含有する栄養素が乳酸菌を活性化させることも明らかになっています」(浅岡良彦・同社事業戦略本部広報担当)。

 小腸で豊富な栄養素を吸収し、大腸で排出を促すという、いわば腸内環境の改善によい働きがあるといえよう。

 同社では沖縄県石垣島で大量培養しているユーグレナを原料とした商品開発を行っている。商品としてはユーグレナにローヤルゼリー、コンドロイチン、月桃葉エキス、ビール酵母などを配合した「ユーグレナピュア」(6,825円)、乳酸菌やトウモロコシ由来の食物繊維、クエン酸を配合した「ユーグレナピュアビオ」(3,654円)、ビール酵母と乳酸菌を配合した「ユーグレナプラス」(6,825円)。また、“ムシの日”である6月4日には、新商品のダイエットクッキー「ミドリムシクッキースリム」(3,150円)のインターネット販売を開始した。

 さらに、ユーグレナには健康食品だけでなく、食料問題から地球温暖化問題まで、世界が抱える大きな問題の解決に秘められた可能性があるという。同社では二酸化炭素を固定する能力を応用しての温暖化対策、家畜や養殖魚のための高たんぱく・高栄養な飼料の開発、バイオ燃料としての活用など幅広い分野での研究開発を行っている。
(2010.06.04)