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りらいぶジャーナル

いじめを解消し、日本一、世界一の学級をつくる教育法

山田栄一著(文芸社)1260円

 38年間の教員生活を送った著者はいじめも低学力も存在しない学級づくりを実現した。本書にはその経験とメソッドがつづられている。

 著者は、学校の学級社会は未開の部族社会であり、担任は部族社会の長であると言い切る。部族社会の長である学級担任は正義の味方であり、いじめられている子どもの味方になり、"えこひいき"をするべきだと主張する。著者はこう記している。

 「担任の長が子どもと『同等』になり下がると、長のいない学級部族社会になり、秩序を保つ『おきて』は無視され、いじめ横行の無秩序、無法の集団になり下がる。学級崩壊が起こり、暴れるこどものいる荒れた学校なる」(同書より抜粋)

 学級担任は部族社会の長として秩序の維持に努めるべきだというのだ。こうした力強い主張の背景には、著者の実にきめ細やかな教師としての活動がある。不登校児の家庭訪問を根気強く行い、いじめを発見次第間髪を入れず行動に移す。著者は教師を労働者でもなく、聖職者でもなく「職人」というすばらしくやりがいのある仕事だという。いたずらに子どもの権利を主張し、いじめや低学力を放置する「労働者」や「聖職者」の教師にこそぜひ読んでもらいたい一冊だ。