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りらいぶジャーナル

初めてのオーディション

アラカンの俳優修行 ~4~
信田参平

 生まれて初めてのオーディションです。自分が受けるなんてこれまで考えたこともありません。それでも「入所金と毎月のレッスン料を払うのだから、よもや落ちるなんてことはあるまい」と気楽に当日明治座内のオーディション会場に出かけて、またまた吃驚です。

 緊張した面持ちの女子高生から同年輩のネクタイ紳士、私よりかなり年配の和服姿の女性など次々に来ます。これは大変。慌てて今日の審査内容を読み直すと、1分間の自己PRと実技、面接とあります。実技は課題を与えられるのですが、問題は自己PRです。

 そのうち始まると、会場からもれ聞こえるのは、課題を読む大きな声と怪しげな物音。和服の女性は音楽をかけて踊り出したようです。紳士はやおらスニーカーに履き替えて、どうやら縄跳びを始めたようです。ええい、ままよ。私は昔とった杵柄で、応援団をやることにしました。「フレェーフレェー――」。

 帰りがけに事務局に聞くと、「書類選考で絞り、今日は丸一日がかりのオーディションでさらに絞らせてもらいます」とのこと。絶句!
 それでも約半月後、無事に「第二次審査合格通知書」が届きました。やれやれ――。
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【しのださんぺい】 1947年生まれ。帝人にて宣伝・マーケティングを長く担当。40歳で転職。50代半ば日本語教師養成講座修了。日本語教材の凡人社に2009年12月末まで勤務。この間60歳で明治座アカデミーの俳優養成コース受講、09年11月修了。現在、明治座アートクリエイト登録俳優。本名、鈴木信之。ザ 日本語教師――十人十色「書店を拠点に日本語教育ネットワークを」