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りらいぶジャーナル

演劇の力に魅了

アラカンの俳優修行 ~2~
信田参平

 55歳で転職した私は程なく社員の大多数が自分よりひと回り以上年下であり、自分が煙たい存在であることに気付きました。会議では新入社員でありながら「上から目線」で発言しています。おやじギャグも通じません。60歳を迎えるころには若い社員たちとのコミュニケーション・ギャップは決定的であることを自覚し、孤立感を深めていたのです。

 「これは自分の言いたいことを的確に周囲に伝えていないからではないか。この溝を埋めるにはどうすればよいか」――。還暦を迎えた年はそんなことを考える毎日でした。

 そのころ私の最大の趣味は演劇鑑賞でした。一人娘が舞台にかかわる仕事を続けていること、その連れ合いが歌舞伎俳優であることも大きな要因で、歌舞伎を始め様々な種類の演劇を鑑賞することが大好きでした。

 そのうち観客を満足させてくれる演劇には人に伝える力があることを発見したのです。自分の役柄としての想いが観客に十分に伝わったとき、そこには「感動」という感情が渦巻いていました。「俳優」ってすごい職業だ!

 そうしたころ、明治座アカデミーの「観る側から演じる側へ!」というキャッチフレーズが目に飛び込んできたのです。
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【しのださんぺい】 1947年生まれ。帝人にて宣伝・マーケティングを長く担当。40歳で転職。50代半ば日本語教師養成講座修了。日本語教材の凡人社に2009年12月末まで勤務。この間60歳で明治座アカデミーの俳優養成コース受講、09年11月修了。現在、明治座アートクリエイト登録俳優。本名、鈴木信之。ザ 日本語教師――十人十色「書店を拠点に日本語教育ネットワークを」