Skip navigation.
りらいぶジャーナル

街の記憶 劇場のあかり 新潟県映画館と観客の歴史

新潟・市民映画館鑑賞会著(第一印刷)1800円

 「月刊ウィンド」という映画館会報紙がある。新潟市の市民映画館シネ・ウィンドを中心拠点に、1985年より配布が始まった。県内の映画上映情報、作品紹介などを取り上げ、地元で愛される本紙。その第205号を記念し作られたのが、本書である。

 本書には、新潟県の映画館の歴史がすべて盛り込まれていると言っても過言ではない。1914年(大正3年)に新潟市に初の活動写真常設館が出来て以来、大正・昭和・平成の時代を彩った県内映画館の記録が、豊富な資料を基に詳細に描かれている。特に、今はなき廃業映画館の写真が満載された挟み込みのモノクロ冊子は、長年の映画ファンにとってはたまらない代物だろう。映画全盛期の昭和ロマンの一端が、この冊子には詰まっている。

 100年にわたる映画館の記録は1つの「文化財」とも言えよう。人々の記憶に残すための記録作りは、本作りの原点を思い起こさずにはいられない。