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りらいぶジャーナル

無伴奏の宴

山村靖著(文芸社)1155円

 ずっと長く別の世界で人生を歩んでいたのに、ここにきてなぜか出会う雄介と結香。二人の間に新しい静かな愛が生まれる。幾夜かの長い会話を縦軸に、二人のそれぞれの起伏に富んだ「来し方」、すなわち問わず語りに回想される愛の履歴を横軸に物語は進む。物語といってもドラマチックな「出来事」は起こらない。話題は地球環境問題から日米欧の比較国民性論、芸術論からグルメ談義、そして二人の未来像まで幅広く、だが淡々といつ終わるともなく会話のラリーが交されるだけ。そして夜が白々と明ける――。
 それぞれの長い時を経て巡り会った男女の会話が織り成す愛の物語を描いた作品である。
my Book my Life(著者インタビュー)