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りらいぶジャーナル

浅草に日本文化見直す博物館

アミューズ・ミュージアム
「アクティブ・シニアの情報交換の場に」大里社長

 東京・浅草に11月1日、「アミューズ・ミュージアム」がオープンした。企画展として、同名誉館長で民俗学者の田中忠三郎氏が所有する国指定重要有形民俗文化財「津軽刺し子着物」のほか、何代にもわたって布を継ぎ充て使用してきた着物や足袋など、同氏の収集物「ボロ着物」をアート・テキスタイルデザインとして展示している。(「ボロ」を展示する「布を愛した人たちのものがたり展」。感触や匂いなど五感で味わうことができる)
 いまや世界共通語ともなった「MOTTAINAI(もったいない)」の精神と、布を織り継ぎ充ててきた人々の愛情をしのばせるもの。
(国指定重要有形民俗文化財「津軽刺し子着物」)

 また、ボストン美術館が所蔵する浮世絵、「スポルディング・コレクション」をデジタル画像で紹介する「UKIYOEシアター」を創設した。明治から大正にかけて収集した浮世絵は保存上の問題などから非公開だったが、2006年から同美術館とNHKが共同で作品をデジタル化した。その解説付き映像を公開している。


 オープンに先立って開催された記者会見でアミューズ・エデュテインメントの大里洋吉社長(写真)は、「還暦を迎えてボストンに語学留学し、ボストン美術館で浮世絵と出会った。その経緯に驚いたと同時に自分の無知を知った」と語り、さらに帰国後、ボートで日本1周の旅をし、地方が過疎化している現実に直面、「このままでいいのか」という思いで浅草を訪れた際、「演芸を見て胸をときめかせた少年時代を思い起こした。これまでとは違うエンターテインメントをここから発信できないか」と同ミュージアム開館の経緯を説明した。


 オープニング企画「布を愛した人たちのものがたり展」について田中氏(写真)は、「父母、祖父母が使ってきたごくごく当たり前の道具や衣類を集めてきた。みな手で触れて生活してきたもの。展示物にも手で触れ、感触を味わってほしい。ボロに触れて自分の人生を学ぶ、老いを慈しむミュージアムだ」と語った。


 また館内のガイドやパフォーマンス、機織り実演などを行う「チーム織り姫」(写真)らも津軽手踊りを披ろうした。

 ミュージアムは築43年の6階建てビルを再生、浅草・二天門隣に位置する。展示室のほかミュージアムショップやカフェ、バーなどもある。

(100年以上前の機織機を使い、古い織物を裂いて織りなおす「裂織(さきおり)」を実演する織り姫)

 和風のライブステージ「織り姫の間」(左写真)やイベントスペースでは様々な企画の発表の場として提供する。

 大里社長は「ぜひアクティブ・シニアに来てほしい。同世代がここに集まり、お互い刺激し合って知識を増やし、情報を交換し合える場としていきたい」と述べており、シニアの情報発信基地を担うミュージアムとして浅草の新名所となりそうだ。
(2009.11.1)