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りらいぶジャーナル

常識のようで非常識な言葉遣い

■言わせてもらおう 私の提言 -井口恒夫-

 世の中いつの時代もそうらしいが、この現代も常識のようで非常識な言葉遣いが実に多い。

 「国連(国際連合)」もその傑作の一つだろう。原語の英語では the United Nations だから、どこにも国際なんて意味はない。まあ「連合諸国」とでも訳すのが妥当だと思うが、まんまと国際的で世界的な組織と思わせる日本語をつくったものだ。「天声人語」も「天に声あり人をして語らしむ」との何とも偉そうな意味ではまったくなく、本来は単なる「あちらの声やこちらの発言」、要するに騒声、雑声にすぎない。「閑話休題」も「ここらで一服、楽しく雑談」ではなく、全然逆の「余談はこれまでとして、本来の話に戻る」という意味だ。

 「地球にやさしい○○」なんかの「やさしい」も「害はある。しかし今までの商品○○よりもその悪さの程度はやや低い」という内容であって、例えば「胃にやさしい風邪薬」とは「副作用で胃の調子が悪くなるが、従来の商品よりも打撃がやや小さい」との意味である。それなのに「胃の調子がよくなる、よりよい風邪薬」であるかのような錯覚を与えているものだ。

 小説『少年H』とは近年まれにみるベストセラーで昭和10年代、つまり戦争の時代を少年の目で書いたものだそうだが、100万部以上も売れたという。読んで感激、感銘された方がもしおられたら、ぜひ『間違いだらけの少年H』(山中恒・山中典子著、勁草書房刊、1999年)もお読みのうえ改めて感激、感銘してくださいね。

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【井口恒夫】退職後に10代の若者たちに混じり、専門学校で調理師免許取得。食品衛生の仕事に携わりながら、地元町内会の副会長としても活躍中