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りらいぶジャーナル

<17>浴衣が着たい!

 1月の研修中に考えたことですが、私が「先生」をするにあたって自分に与えたルールがあります。
 日本語のプロでもない私が学生に対してできることは何か。それは彼らの質問や疑問にはできるだけ回答すること、日本に関する興味にはできるだけ応えてあげること。だから、私はたとえ雑談のなかのことでも覚えている限り、すべてメモをしています。

 その一つ、3月ごろのこと、一人の女子学生から「浴衣を着てみたい」と言われました。すぐに調べたのですが、浴衣は夏の風物詩。5月にならないと手に入らないということでしたので、5月になってようやく取り寄せました。
 私自身、旅館の浴衣以外着たことがなく本式の着付けは知らないので、インターネットで勉強しました。髪は私が持っていたカンザシを使用。そしてどこで買ったのか、本人が紫の扇子を持ってきていて面白かったです。考えてみれば、彼女にとってはコスプレなのでしょう。

 せっかくなので、和服を着た際の「正座」「お辞儀」も教えてみました。そして和室の場合、立ったり座ったりをしなければならないことを伝えると、ちょっとびっくりしていました。

 ここ数日30℃を越える日々だったのですが、この日は晴れてはいるけれども暑くもなく、風もさわやかな日曜日で、私の家の周りを散歩しながら、彼女の浴衣を見に来た学生と一緒にたくさん写真を撮りました。

 私が最初から接することができた学生たちも、あと1か月ほどでここを卒業します。前回の卒業生の就職先もまだすべてが決まったわけではなく、その現況を知っている彼らのモチベーションをどうやって上げればよいのか、すでに35℃を上回る日もある気候のなか、何となく日本の5月病にも似た「やる気が出ない」感じの生徒も見受けられます。本人がやる気をなくしてしまったらすべてが無駄になってしまいます。気持ちはわかりますが、今しかここにいない彼らには、ここでしかできないことをできるだけ吸収してもらいたいと願っています。そのために私は何ができるでしょうか。ただ今考え中です。

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さんべ・きょうこ●短大卒業後、ホテルなどでのブライダル関係のプロデュ-ス会社を経て、ソフト開発会社での開発デザインおよび新人マナー研修業務などを歴任後退職。在職中に中国に魅せられ、北京や山東省を中心に度々訪問。開封市(河南省)での短期留学や大連への2カ月の出張経験などを持つ。