“魂の一冊”生み出す喜び
書く楽しさを地域に伝える
湘南社
湘南社(神奈川県藤沢市)の田中康俊社長は異色の経歴を持つ。アパレル企業に20年以上勤め、脱サラして出版業界に飛び込んだ。そこで自費出版に出会い、著作物の面白さ、制作の喜びを知った。
とはいっても、まったく出版と縁がなかったわけではない。
「昔からデザインが好きで、大学の後輩が勤める出版社で発行していた新書に使うイラストやカバーデザインなどをやらせてもらっていました」
さらに、その後輩らとウィンドサーフィンを始めたことを機に都内から湘南に移り住み、東京に通うサラリーマンが体験する湘南や湘南の情報、風俗を発信するというコンセプトで仲間数人とともに雑誌を創刊した。
それが10年前のこと。現在、「えのしま出版」として存続し、湘南情報のほか自費出版やアマチュアライターを紹介する雑誌として地元に知られている。
「人は生涯一冊の本が書けるといいます。その一冊は魂がこもったもの。それを生み出すお手伝いをしたい」
最近の制作物は元住職の父親が書き溜めた説法や随筆などを子息がまとめたというもの。完成品を前に大変喜ばれたという。
田中社長は異業種交流などで地元の人々との接触を密にし、本づくりの楽しさを伝え歩いている。
(08.08.01)