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りらいぶジャーナル

選択―リスクとどう付き合うか

武田計測先端知財団編・中西準子・武田穣・福田恵温・唐津治夢著(ケイ・ディー・ネオブック)1050円

 良いものと悪いものとは裏腹、それをどう選んでいくのかが私たちの責任だという趣旨のもと、環境工学、生物化学、技術経営などの専門家らがそれぞれの立場から選択について語る。

 例えば現代科学技術の最先端を行くナノテクノロジーにおいて、その安全性については不確実性が高いのが現実だ。だが、これからさまざまな分野でナノテクノロジーが使われる。それが私たち消費者の前に商品として差し出されたとき、私たちは何を基準にその商品を選ぶ、あるいは選ばないと判断するのだろうか。

 また例えば、医薬品や健康食品として有能な成分を持つ海外の天然資源物を利用する場合、現地との取引をきちんとしておかないと企業が悪者として訴えられ、イメージダウンにつながるというリスクを抱えている。

 絶対的な安心や安全はない。基準値という数値にとらわれると本質が見えなくなる。物質的な欲の追求が薄れてきた今、一人ひとりが選択とリスクを考える時代になっていることを実感させられる。