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りらいぶジャーナル

<16>「大丈夫、できます!」

 少しだけレベルが上のクラスの授業に、ビジネス系の「日本の考え方」を取り入れてみました。ところが、ここで日本と中国の違いがはっきり出てきました。

 以前から最低ラインとして「あいさつ・名刺交換」などはやっていましたが、彼らが育ってきた環境は中国。内容が「考え方」に及ぶとどうしても理解できない、またはわかっても実行できない問題が起きてきます。

 例えば、以前出張していた大連で体験したことですが、「この仕事はできますか」と言うと、中国人は「出来ません」とは言いません。基本的に「大丈夫、出来ます」と言います。そして、結果的に出来ていないことが度々あるのです。「出来るって言ったのに」、そう言いたくなりますよね。これが日本側とのトラブルの元でした。

 日本人は出来ないなら出来ないと言います。理由はスケジュールだったり人員だったり、個人の能力だったり様々です。そしてここから「じゃあ、どうすれば出来るかな」という相談が始まるわけです。

 しかし、中国では上司に「出来ない」と言った段階で、「そうか、じゃあ、お前はいらない」という判断が下されてしまうというのです。これでは口が裂けても「出来ない」とは言えませんね。

 そこで、授業を2回使って、この「日本の考え方」を教えようとしましたが、内容が難しいから面白くないし、第一「会話」になりません。それに彼らが中国にいる限り、上司が中国人である限り必要のない考え方でもあります。だから私はこれは「いらない」と判断しました。

 ただ、「日本人は時間を守ります。日本人は約束を守ります。約束を守らない人は“嘘つき”と思われ、信用されません。信用できない人はどんなに技術があっても“仕事ができない人”と思われます。日本人を相手にするときは注意してください」とだけ伝えることにしました。その代わり、将来日本へ行きたい人、日本で働きたい人には「応用ビジネス」として、私が教えられることをできるだけ教えたいと考えています。

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さんべ・きょうこ●短大卒業後、ホテルなどでのブライダル関係のプロデュ-ス会社を経て、ソフト開発会社での開発デザインおよび新人マナー研修業務などを歴任後退職。在職中に中国に魅せられ、北京や山東省を中心に度々訪問。開封市(河南省)での短期留学や大連への2カ月の出張経験などを持つ。