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りらいぶジャーナル

大学院レベルの教育を提供

朝日カルチャーセンター
シニア受講生、定住外国人との共生に関心

 大学院レベルでの日本語教師養成をめざす朝日カルチャーセンター(東京都新宿区)の日本語教師養成講座。日本語教育で第一線の研究者であり教育者であった故・小出詞子氏(国際基督教大学名誉教授・姫路獨協大学名誉教授)が発起人となり、1974年に開講したコースだ。

 履修科目は17科目。担当する講師のほとんどは大学教授や講師などが務める。同カルチャーセンター自体が大学または大学院レベルの生涯学習を提供してきたことから、その他の選択科目も大学研究者や専門家らが講義する公開講座から取得できる。平均的に1年半で修了しているが、休学を含め修了期間は5年間と余裕がある。

 一方、併設する外国人向けの日本語講座の学生と教師養成の受講生や修了生をセッティングし、自由な会話でお互いにコミュニケーションを取ることのできる「おしゃべりボランティア」も好評だという。ロビーで話をするだけでなく、受講生が食事や観光を兼ねて外に連れ出し、外国人は生の日本語を勉強、教師養成講座の受講生は教え方を勉強するというケースもある。今瀬佐智乃日本語科長(=写真左)は「教科書どおりではうまくいかないことを経験的に学べる」と実践のよさを強調する。

 受講生の6割は50代以上と年齢層が高い。講師の富来英子氏(=写真右)は「講座に対する期待値が高く、よく勉強する」とシニア層を見る。同時に、「50代ではこれまでの仕事や社会経験を生かして、できれば非常勤講師として教えたいという方が多いのですが、それ以上の年齢層では報酬にはこだわらず、むしろ社会還元したいという方が多く見受けられます」と、シニアでも大きく2つの傾向があると分析する。「ただ、いずれにしても将来の目的は明らか。9割以上が教壇に立つことをめざしています」

 近年、国内でも日本語学習の需要が増している。なかでも給与水準の低い定住外国人へのサポートが必須だ。現状では自治体にその対応を求めざるを得ないが、講座を受講する過程で、そこに一石を投じたいと考えるシニアが増えているという。「講師を務める大学の先生のなかには国内の現場によく出向いて情報収集し、自治体への働きかけや教育システムの立ち上げなどに関わっている方もいらっしゃいます。受講生も講座を通じて、そのような日本語教育の現状を知ることができますし、身近な地域のことなので関心も高まるのでしょう」

 日本人と定住外国人との共生が叫ばれ、自治体でそのようなシステムを作っているケースもあるが、現実とのギャップは否めない。富来氏はこうした問題にシニア教師が関わってほしいと期待を寄せている。
(2009.7.10)