Skip navigation.
りらいぶジャーナル

認知症治療、海外で

療養の選択肢広げる提案
リエイ「海外療養プログラム」を開始

 介護総合サービスの株式会社リエイ(千葉県浦安市、椛澤一社長)は台湾で認知症患者が療養できるプログラムを開始した。現地の病院や滞在施設と提携、日本では使用できない認可薬を処方するほか、漢方など独自医療を提供する。同社が構築している「アジア介護ネットワーク」の第1弾としてスタート、タイやフィリピンでも同様にサービスを展開する計画だ。

 認知症の主な原因とされるアルツハイマーだが、現在日本では抗アルツハイマー薬が1種類しか認められていない。そのため治療をあきらめる家族も多い。しかし、近隣のアジア諸国ではその他の薬物治療が可能なことから、認知症患者や家族に新たな選択肢を提供する機会になりそうだ。

 台湾最大の私立総合病院「長庚(チャンガン)記念医院」、および桃園県最大の医療・介護施設「ミッションケア」と協力して行う。同国で認可されている5種類の認知症治療薬に加え、漢方薬を処方する。


 長庚養生文化村(=左写真、外観)は長庚記念病院の系列の自立高齢者向け滞在施設。同村の敷地面積は34ヘクタール(約10万坪)、病院のほか図書館、ジム、工房、コンビニなどの施設を備えた有料老人ホーム、農場などが整備されているという。特に現在入居している台湾人の高齢者らは日本語も話すことができるため、視察した同社スタッフは「日本人にとっても安心感があるのでは」と話しており、療養中に文化交流も図れそうだ。
(写真=長庚養生文化村は約10万坪と広大)

 タイはバンコク病院、マナーロム病院と提携、滞在はサービスアパートメントを使用する。認知症に効果的なアロマテラピーやタイ式マッサージなども提供する。8月からサービスを開始。
(写真=日本人専用クリニックもあるバンコク病院)

 またフィリピンはマニラのアジアン・ホスピタル、滞在は日本人向け介護付き住宅「アモーレの里」で、9月からサービス開始を予定している。

 3国の提携病院はいずれもアメリカ食品医薬品局(FDA)の認可薬を処方できること、治療実績のある専門医が診察すること、がん早期発見に用いられるPET(ポジトロン断層撮影法)など最新の画像診断手法を備えているなどの要件で判断した。海外療養プログラム事務局の田中克幸経営企画部長は「国内で認知症に関する関心は高まっているが、認知症の進行を遅らせる薬物は1種類しか認められていない。しかし台湾では5種類、タイとフィリピンではそれ以上の認可薬を治療に用いることができる。海外での療養という選択肢を提供したい」と話す。実際に83歳の日本人女性がタイで療養し、症状の進行を抑制することができたという病院の報告も受けているという。

 まずは軽度認知症患者を受け入れる。会員制度とし、入会金10万5000円、年会費25万2000円。カルテの翻訳や病院の照会、医薬品情報の提供などを行う。今後は対象疾病の拡大や受け入れ医療機関などを増やす計画だ。問い合わせは同社海外療養プログラム事務局、電話047-355-8187。
(2009.07.10)


関連記事
介護は心 人による癒しを追及 椛澤 一さん
橋幸夫さん招き介護セミナー