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りらいぶジャーナル

<13>初めてのテストで見えた学生の個性

 私の授業は「教える」というより「コミュニケーション」が目的なので、テストをすることはまったく考えていませんでした。しかし学校の上司や他の先生方から「テストはやるべきだ」との指摘を受け、することにしました。

 そこで考えた挙句、「おしゃべりテスト」と銘打ちコミュニケーション能力テストをすることにしました。語学を勉強している人が必ず経験するであろう「初めて会った外国人に話しかける」というシチュエーションで。

 私もそうでしたが、少し話せるようになると本当に自分の語学が通用するのか試してみたいものだと思います。「話したい、でもどうやって話しかけ、何を話せばいいんだろう」、それを擬似体験するのです。

 同じクラスメートでも話せる能力や聞き取り能力が違うので、自分のレベルに合わせた会話をしてくれれば良いと考え、最低5つは私に質問すること、聞き取りができたかどうかの確認として、「私は何と言いましたか」という会話に沿った質問を後日するので、会話中にメモを取ってもらうことにしました。出会いから別れまでを考えてほしかったので、「バスや電車などの乗り物で初めて会った日本人にあなたから話しかけ、あなたが先に乗り物から降ります」ということだけ統一。

 試験準備として作成した採点基準(コミュニケーションの基本である「話したい」という気持ちや「もう一度言ってください」などの積極性も重視すること)を渡し、1週間考える時間を与えました。

 そして当日。
 後日の聞き取り確認テストを作成するために、すべてを録音することにしてテスト開始。所要時間も区々で5、6分の学生もいれば10分以上学生もいたため、15人分の聞き取り確認テストを作成するのは結構大変でした。

 詳細は省きますが、出会いから別れまでのシチュエーションのなかで質問の内容はもちろん言葉の使い方から態度にまで各自の個性が出ていて、本当に面白かったです。

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さんべ・きょうこ●短大卒業後、ホテルなどでのブライダル関係のプロデュ-ス会社を経て、ソフト開発会社での開発デザインおよび新人マナー研修業務などを歴任後退職。在職中に中国に魅せられ、北京や山東省を中心に度々訪問。開封市(河南省)での短期留学や大連への2カ月の出張経験などを持つ。