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りらいぶジャーナル

<6>バスの中で

 大型スーパーから定期で回っている無料バスの運転手さんと小一時間話をする機会がありました。彼は私が日本人だとわかると、後から乗って来たお客さんみんなに、「彼女は日本人だ」と紹介しまくり、「嘘だ」と信用しない男性のお客さんには中国語の「おはよう」を日本語で言ってみろと、妙な挑戦を受けたりしました。日本語で「おはようございます」と言ってあげましたが、正しいかどうかの判断はできないでしょうに、と思ったら、別の女性のお客さんが「それ、聞いたことがある」と判定してくれました。

 その運転手さんが「日本人の人口はどのくらいか」と聞くので、1億5千万人より少ないと答えたら、彼はけっこうショックを受けたらしく、「何でそんなに少ないんだ! 中国は13億人もいるぞ」と言っていたのがとても面白かったです。私に「何で」と言われても――。

 知らない人でも話したければ話すし、聞きたければ聞く、言いたい放題に見えるけど人を傷つけることは絶対に言わない中国人。そんな中国人が日本へ行くと感じる「寂しさ」は当然だなと思います。

 日本では何かを尋ねるときにしか他人へは話しかけないのが基本。こちらでは当たり前のように近くにいる人に話しかけます。そばで見ていると知り合いかと思うような雰囲気で普通に会話が始まります。そして、それに周りの人が反応すると、その辺り一帯で話が弾む。習慣というか文化というか、違いを肌で感じるのが本当に楽しいです。

さんべ・きょうこ●短大卒業後、ホテルなどでのブライダル関係のプロデュ-ス会社を経て、ソフト開発会社での開発デザインおよび新人マナー研修業務などを歴任後退職。在職中に中国に魅せられ、北京や山東省を中心に度々訪問。開封市(河南省)での短期留学や大連への2カ月の出張経験などを持つ。