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りらいぶジャーナル

地域とのつながりを大事にしたい

おもちゃドクター 柏木毅さん

 柏木毅さん(67歳)はおもちゃドクターとして2006年1月にデビュー、活動を続けて今年4年目に突入した。大阪府富田林市に開設している「とんだばやし・おもちゃ病院」のドクターの一人として活躍している。

「子どもの目の前でおもちゃを修理します。すると、子どもはその様子を興味津々としてじっと見ているんですね。それで動かなかったおもちゃが動いた瞬間、子どもの目がきらっと輝くんです。飛び上がって喜んで『おっちゃん、ありがとう!』。そう言われるごとに、やりがいを感じています。それに、直すことができたときの達成感。これがたまりませんね」

 柏木さんがおもちゃドクターを知ったのはたまたま現役時代の友人からおもちゃドクターの話を聞いたことがきっかけだ。
「これだっとひらめきました。ぜひやってみたいと思ったんです」

 退職後、アルバイトをしたりパソコン教室を開いてみたり、かつて務めていた大阪の会社仲間と飲んだりしていたが、地域の付き合いはまったくなかったという柏木さん。
「もともと今住んでいる地域の人間ではないし、自宅と会社との往復でしかありませんでしたから、周りは知らない人ばかりでした。一人でウォーキングやハイキングをするのは好きですが、このままでは一人寂しくなるだけだなあと思ったんです。社会に参加していないと、年を取るのも早いだろうという気もしてきたんですね」
「子どもたちから元気をもらえる、手先を使い、考えることでボケ防止にもなる、社会参加で若さを保てる、誰でも楽しくできるのがおもちゃドクターです」(とんだばやし・おもちゃ病院で)

 そんな思いに駆られていたときだったのでピンと来るものがあったのだろう。また、日常生活でも壊れた日用品を直すことが好きだったこともあり、おもちゃドクターに魅力を感じたという。

 柏木さんはさっそくインターネットで情報を集め、日本おもちゃ病院協会に行き当たった。そして数カ月後、大阪市で開催されたおもちゃドクター養成講座を受講した。
「楽しかったですね。講座の一課程でおもちゃを直すのですが、直したときに味わった達成感に、これはできるという感触を得ました」

 養成講座を修了後、講師だったベテランドクターのいる富田林市の病院で活動を続けているが、今秋には地元和歌山県橋本市に病院を開設する予定で準備を進めている。
「ドクターを始めたころから橋本に病院を開設したいと思っていました。地域とのつながりを持ちたいし、子どもにも喜んでほしいのです」

 橋本市社会福祉協議会にも協力を取り付けた。「おもちゃ病院を子どもたちの遊び場にしたい」、そんなイメージを抱きながら今、病院開設に向けて仲間を募集中だ。
(2009.05.15)